カノンリベンジ -2-
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「ゼロワン、商店街いくよ。」
「なんで?」
俺はごろんとこたつのなかから兄(姉か?)弟子でいとこのなゆに対応する。
「それが兄弟子に対応する態度かッ!」
どがッ!頭をけ飛ばされる。とても痛い。
「だいたいなんで俺つれてくんだよ・・・
 ゆたんぽ代わりにでもする気か?」
「貴様なんぞゆたんぽにするぐらいなら血吸って捨てるよ。」
なんかいってることずれてる気がしないでもないが・・・
「もしついてこなかったらラッシュ1000発。
 いまなら増量期間で1500発。おまけにご飯はアレ。」
「ち、いくよ。まったく。」
俺はしぶしぶついていく。外の凍てつく風が俺の肌を刺激する。
凍傷になりそうだがついていかないともっとひどい目にあいそうだ。
買い物かごを無理矢理もたされ(もちろん断って蹴られた)商店街に
たどり着く。
「ここで待っててね。先に帰ったら地の果てまでも追ってくから。」
声が笑ってない。顔も笑ってない。マジだ。
俺は命が惜しいのでその場に立ちほうけることにした。
ぼー。
ぼー。
遅い。もう1分もたっているではないか。
俺は暇つぶしになるなにかを探してあたりを見回した。
「殴りやすそうな頭だな・・・」
俺より頭一個小さいガキが目の前を横切っていく。
「ウラッ!」
トミさんから教わったラッシュの片鱗を見せてみる。
ドゴッ!ボガ!バキッ!
俺の脳裏に3HITと表示された。クリーンヒットし感動に打ちふるえた。
だが、次の瞬間それ以上の恐怖にみまわれる。
「うぐ・・・えぐ・・・」
当たり前だが殴ったガキが泣いているのだ。あたりの人がみたら
俺が泣かせたみたいにみえる。(事実そうなのだが)
「これぐらいでなくなよ。だらしない奴だなぁ。」
と軽口をたたいてみても。
「うぐっ・・・ひどい・・・・」
と正論で返されてしまう。確かにひどかったが、この状況で
弁解もなにもあったもんじゃない。(人がいなくても弁解できない)
俺はガキの腕をつかみ強引に人混みを突き抜けていった。

「おい、名前は?」
「うぐ・・うぐっ・・・」
「うぐうぐか。」
俺は納得したが明らかに違う気がする。案の定、
「えぐ・・ちが・・・う・・・」
と泣きじゃくりながらも反論される。
「・・・ゆ・・・あゆ」
「ゆあゆか。珍しい名前だな・・・」
「ひっく・・・・ゆ・・・・あゆ・・・・あ・・・・」
埒があかないのでこれ以上名前にこだわるのはやめた。
あゆあゆでいいだろう。
「貴様などあゆあゆで十分だ。」
「うぐ・・・」
どうやら対して違いないようで顔が少しほころんだように見えた。
いや、無理矢理そういう風に理解した。
「あゆあゆ。まぁなんだ。通りがかりを殴られた瞬間反応できないようじゃ
 この世の中生きていけないぞ。辻斬りに襲われたらお釈迦だぜ。」
俺はありきたりの詭弁を聞かせまくる。
「いいか。さっきのあれは、生き抜くための試練だ。
 強くあれ。再会を拳で語り合うような猛者となれ・・・」
「うぐ・・・うん・・・」
ガキはうなづいててくてくと帰っていった。
「洗脳・・・完了。」
俺も帰ろうかとふと後ろをむくとガキがついてくる。
「なんだよ。」
「うぐ・・・帰る・・・」
どうやら道が同じらしい。あたりは夕焼けにつつまれていた。
そして5秒後あたりは雲に覆われたかのように暗くなる・・・
「・・・ゆきうさぎ、か。」
俺は冷静に判断しその場から走り去る。あゆあゆもなぜかついてくる。
身の危険を察したのだろうか。ズシン!ぷちゅる。
背後で潰れる音。たからかな笑い声。そのゆきうさぎを狂ったように
殴りまくる兄弟子。俺は気がつくとなゆに飛びかかっていた。



突如あたりが寒くなる。どうやら現実の世界に戻ってきたようだ。
あのあと、どうなったかはもう覚えていない。なゆと命を奪い合うことが
多くなったのもそこに理由があるのかもしれない。すべては思い出の中、か。
俺は布団からはいでると下の階へと降りていった。
下の階にはトミさんがぐつぐつと怪しげな料理を作っていた。
気づかれないようにそーっと中へとはいり冷蔵庫をあさる。
「おはようございます、ゼロワンさん。」
こっちを振り向かずに挨拶をするトミさん。俺もあわてて挨拶をする。
「朝御飯、できてますよ・・・」
結局こうなる運命だったらしい。俺は観念して食卓へとついた。
ん・・・何か足りない。運命共同体のなゆがいないではないか。
もうおきてないと遅刻するぞ・・・(それは俺もあてはまるのだが)
「なゆなゆ、起こさなくてもいいんですか?」
「ええ。今日ぐらいゆっくり寝かせてあげましょう。日曜ですし。」
俺は相当ぼけていたらしい。というのもさっきから頭のもやが一向に
はれる気配がない。あの夢の出来事が何をさすのか。俺は朝食も
ろくにくわずに家を後にした。

「昨日ゆきうさぎに潰れてわかれちまったな・・・
 さすがにいまも埋まってるなんて事はないと思うが・・・」
昨日の人通りの少ない街道へとでる。大きなゆきうさぎが雪山へと変化している。
とりあえず、この雪山を吹っ飛ばすか・・・
「んんんんん!破亜亜!」
気合い一発。雪山を壊そうとしたまさにそのとき、その音楽は流れてきた。
ちゃーんちゃーんちゃーーーーん、たららちゃーんちゃーーんちゃーん、とぅとぅー
「これは・・・オラ太郎のBGM!?」
俺はあたりを見回すが音源はいっこうに見つからない。なんとなくわずかだが
恐怖にかられる、気がする。がさ・・・どさ。
雪がおちる。俺はその方向をむいた瞬間、
「裁くのは僕のうぐぅだ!」
「!!」
「あーゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆ!」
「ウーラウラウラウラウラウラウラウラウラウラウラ!」
一人の少女が息を切らせて後ろに飛び退く。あまりラッシュ比べなれしていないようだった。
「おまえは・・・あゆあゆ。なにやってんだ。」
「うぐぅ。ゼロワンくんがたえたー。たえたーーー。」
一人でわめいている。とりあえず無事だったようだ。これで朝の新聞を
あゆあゆの記事をよむおそれなく読める。
「なんかひどいこと考えてなかった?」
「なんでこの世界の住人は考え事を読めるんだ?」
俺は自分でも理解不能な事を口走った。
「うぐぅ、ひどいよぉ。」
まぁもうどうでもいい。とっとと帰って暖まりたい。
その前に一つ気になる事がある。こいつ、どうやってゆきうさぎから抜け出したんだ・・・
「あゆあゆ、お前どうやってゆきうさぎからでたんだ?」
「え、気づいたら外にいたよ。」
そりゃ便利だな・・・俺はその脳天気さに呆れながら帰路につこうとした。
だがなぜかひきずられていく。
「おい・・・」
「追われてるんだよ!」
・・・・俺はされるがままに連れていかれた。なぜならあゆあゆの進む方向は
まさに俺の居候の家の方角だからだ。

「で、なんで追われてるんだ?」
なんとなく手にもっている包みが気になるが・・・
「たいやき食べる?」
「ウラッ!」
ガッ!たいやきを破壊しようとした俺の拳を生身の人間がすでで受け止めた。
いや、手袋しているが・・・普通じゃできない。
「まだ何も話してないよ!」
「落ちはわかるんだ。」
「今日はこしあんだよ?」
「いただこう。」
どうせこいつに全部罪きせればいいや、と俺は思いたいやきをいただく事にする。
さっきまでの正義感はどこへいったんだろうか。
俺がたいやきをほおばっていると突然ドアががちゃりと開いた。
このたいやきのにおいを嗅ぎつける嗅覚、俺らの会話を聞き取る聴力、
そして、たいやきの個数を確認し自分が食べれる分だけあることを確認できる視力、
人間の血の味を見極める味覚!まさしくそこにたっていたのはすべてを分析しつくした
なゆだった。(味覚は関係ないような・・・)
「ゼロワン・・・食べているね。」
あくびをしながらものほしそうにこっちを見つめているなゆ。
日が高いのでまともな状態だ。夜になると会話・交渉が不可能になり仲魔に
引き入れることができなくなってしまう。
「誰?」
あゆが不審人物を見る目でなゆをみつめる。半纏まではいいが裸足で雪の上あるいてきたら
だれだって不審人物だと思うんだろうが。
「こいつは疑わしいが俺のいとこのなゆなゆだ。」
「へぇー。よろしくね。なゆなゆ、って昨日僕をつぶした人っ!」
「くー・・・なんのこと?」
半分寝ぼけているし夜の記憶は普段はないのでまったく会話がかみ合わない。
かみ合ったらそれはそれで困るのだが。この状況は非常にまずい。
家の前で喧嘩されたらあたりが崩壊する。
「てめーは僕を怒らせた・・・」
台詞を言い終わった瞬間になゆに飛びかかる。そして・・・
「あーゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆあゆ!」
「ぐぁぁぁあああああああぁぁああぁああ、ばかな!このなゆ様が・・・!?」
天井まで吹っ飛ばされるなゆなゆ。屋根にのっかってしまったようだ。
「一応、焼却しておくか・・・」
あゆあゆの背中に羽が生えたかと思うと一瞬で屋根の上に飛び上がった。
と、その瞬間あゆあゆが吹っ飛ばされ地上におちてくる。
俺は受け止めるわけでもなくぼーっとしていた。
「ふはははは!計算づくー・・・・第二ラウンドといくー・・・・」
途中まで元気だったのだがまた突如として元気がなくなっていく。
そしてそのまま屋根の上で猫のように丸まってしまった。
「あゆあゆ、大丈夫か?」
完全に雪の中に埋まってしまっている。仕方ない。俺は能力を発動させ
あゆあゆを掘り起こしなゆの首根っこをつかんで家の中のリビングへと
向かった。
「ただいま、トミさん。」
「おかえりなさい、ゼロワンさん。ずいぶんと活きのいい素材を見つけてきてくれましたね。」
あんたは自分の弟子を食う気か。
「いや、おつかいは頼まれてないよ。」
「あら、そうでしたか。じゃあちょっと留守番しててもらえます?」
「はい。」
いってトミさんはふっとその場から消えた。
とりあえずなゆはそこらへんにおいておいても死なないがあゆあゆはまずいな。
俺はあゆあゆの額に手を乗せた。すごく冷たい。まるで地面に触れているようだ。
生命の脈動がまったく感じられなかった。さきほどの落下のショックでいっちまったのだろうか?
脈もない。瞳孔も反応なし。捨てにいくか・・・
俺はあゆあゆをかつごうとした瞬間あゆあゆが飛び起きた。
「勝手に人を殺さないでよっ!」
「だって脈なかったしだいたいその瞳、光が宿ってないぞ。」
「うぐぅ。」
まあどうでもいいか。腐乱死体にさえならなければ問題はないだろう。
あゆあゆがあたりを見回す。
「ここ、どこ?」
「俺の居候先だ。」
「ふーん・・・あ、僕おなか空いちゃった。なんか作っていい?」
普通、なんかない?だろう。いってることがめちゃくちゃだぞ。
「菓子ならあるぞ。」
「うぐぅ、料理がしたいんだよっ。」
俺は特異点なのかもしれない。変人が集まるという。
俺は特に止めもせず、勝手にやらせることにした。

あゆはコートを脱ぎ捨て包丁を片手に人参を切り始めた。
ザシュッ!
半分にきれた。感動しているらしい。その調子で手を添えて
ザシュッ!
だんだんといびつな形へとなっていく人参。
ジャガイモをきろうとしたそのとき、
グサッ!
包丁が手に突き刺さる。どうやったら突き刺さるんだ・・・・
指きるならまだわかるのだが。だが気がつかずそのままジャガイモをきっていく。
「あゆあゆ・・・(痛く、ないのか・・・感覚がないのか・・・?)」
「うぐぅ、うまくきれないよー。」
「指切れてるぞ。」
一応俺は警告してやる。出血多量で本当に死なれたら困る。
救急箱を探しに部屋をでる。あゆあゆはじっと手を見つめそれをなめたりしていた。
「ほら、みせてみろ。」
「うんっ。」
俺は目を疑った。そこに傷口など存在せず、綺麗にふさがっていたからだ。
いや、元々なかったのか・・だとしたら台所に転がっている血塗れのジャガイモは
いったい・・・こいつもまさか吸血鬼、なのか・・・?

その後あゆあゆの料理(の練習)の後片づけをみんなでやり、ようやく夕飯を
食べた頃にはとっぷりと日がくれていた。
「あゆあゆちゃん、今日は泊まっていく?夜遅いと危ないから。」
「うんっ。お言葉に甘えさせてもらうよっ。」
なんて図々しい奴だ・・・俺はそんな光景を横目にテレビをみていた。
横でなゆも見ている。さっきから様子がおかしい。急に頭を両手で交互にかきむしったり。
耳に指をつっこんで回したりしている。
「かゆいのか?」
一応、聞いてみる。かゆいといわれたらどうするかまでは考えてないが・・・
「・・・貴様ッ!みているなッ!」
なゆが質問を無視し急にテレビに向かって拳撃を放つ。俺がとっさにそれを弾く。
「あ、あぶねぇ・・・このテレビ壊れたらどうするつもりだよ・・・」
「新しいのを買えばいいだろう。ビジネスクラスの客には高い買い物だがな。」
俺の事らしい。引っ越してそうそうバイトなんてできるかってんだ。
そんなこといっても仕方ないので俺はしばらくテレビをみたあと床についた。



「・・・ゼロワンくん、僕もラッシュ覚えたいよ。」
森の中、あゆあゆがそういった。息が白い。とても寒い。
なのになんでこんなところにいるんだろう?俺はつくづく自分の
意味不明な行動に悩まされる。
「あゆあゆごときあゆあゆあゆあゆで十分だ。」
「うぐ・・・わかったよ・・・」
こうして寒い中、二人の修行が始まった。
そしてそんな日々が少々続いたある日、
「ゼロワン君、後ろむいてて・・・」
「あ?なんで?」
「・・・・木に上るから・・・」
なんでそんな意味のない行動をとるのか俺には理解できなかったが
とりあえず後ろを向く。
「・・・いいよ。」
俺が見た光景はそこからゆきうさぎをもって飛び降りてくるあゆあゆだった。
どうやってそこまで運んだのかは知らない。だがあれは・・・
あの技は・・・常人が使えば体をしたたかに打ち付け骨という骨が砕け散り
内蔵をぐちゃぐちゃにしてしまう技・・・!子供というものは人の真似をすぐ
したがるというがまさにそれそのものだった。そして俺はそれを・・・

「受け止められなかった。」

ゴッ・・・嫌な音とともに赤い染みが広がっていく。
そう、俺は避けた。避けてしまったんだ・・・
「うぐ・・・失敗・・・しちゃった・・・」
「あゆあゆ・・・・」
「やっぱり、あの子みたいにはできないね・・・」
「しゃべるな・・・!」
「ゼロワンくん・・・押しつぶしてみたかったな・・・・」
あゆあゆの手から力が抜ける。そして俺は・・・
「今度は避けないから・・・受け止めてみせるから・・・」

そして奇跡が起き始める・・・

そこで目が覚める。手元にある時計をみると深夜2時をまわったところだった。
「じゃあ、今いるあゆあゆはいったい・・・」
考えがまとまるはずもないので仕方がないがふに落ちないまま俺は再び眠りについた。

「おはようございます。トミさん。」
「あら、おはようございます。ゼロワンさん。」
あゆあゆがこりもせず料理をしている。止めなくていいんだろうか・・・・
聞きたい事もあるがそれを聞くのはなぜか気がひけた。
ボンっ。なにかすごい音とともに火をかけていた鍋が消し炭になった。
「できたー。ね、たべてみてよ。ゼロワンくん。」
いって手渡されたのは何かの原型をとどめていない、黒いカスだった。
「こんなもん食えるか。」
「うぐぅ・・・食えるもんっ!」
あゆあゆは俺からそれを奪い取り口の中に放り込んだ。
ガッ!ゴキッ!バキッ!
耳障りな音が10秒ほど続いたかと思うとごくん、と飲み込む音が
聞こえた。そしてこっちをむく。
「おいしいよっ!」
嘘つけ・・・まだトミさんの料理の方がましだ・・・俺は食卓について
ぼーっとしていた。ドタンバタンゴンッ!
派手な音とともになゆが現れる。あゆあゆの様子を伺うと別段襲いかかるような
事はなさそうだ。昨日の夜、何かあったんだろうか。俺はよからぬ想像をしてみた。

「君と友達になりたいんだよ。」
いって髪の毛から怪しげな玉をとばすなゆなゆ。あゆあゆはそのとき、
同性ながらなゆなゆの魅力(カリスマ)、そして異様なほどの威圧感をうけていたため
友達になりたい、といわれたとき救われる思いだったのだ。
「友達として頼みたいんだが、ゼロワンを倒してきてくれるな?」
「はい、なゆ様・・」

ってなんでこういう想像しかできないんだ・・・くだらない妄想に浸っていると
目の前に朝食が運ばれてきた。今日は・・・
「活きのいい○○がいたのでカッさばいてみました。」
「○○おいしい。」
「お醤油ある?」
「はい、どうぞ。」
俺はその場にいることすらできなくなって学校へと向かった。
しばらくしてなゆが追いついてくる。
「あゆあゆ、今日も家に泊まるって。」
「なんでだ・・・」
俺はふに落ちないまま登校路を歩いていく。すると前方に見覚えのある二人を
見つけた。なゆがいると二人を殺しかねないな・・・先にいっててもらうか。
「うん、わかったよ。」
「まだ何もいってないんだが・・・」
「貴様ごときのちっぽけな考えが読めぬなゆ様ではないわッ!」
捨て台詞(?)を吐き捨て先にすたすたといってしまうなゆなゆ。
俺は走って二人に追いつき挨拶をする。
「よう、お二人さん。」
「おはようございます。ゼロワンさん。」
「・・・・」
片割れには相変わらず無視されるが仕方ない。そういう奴なのだ。
「挨拶ぐらいしろよな。減るもんじゃないし。」
「おはよう・・・」
手短にそういうと変わらぬペースで歩いていく。とことんマイペースな奴だ。
「あ、そうだ。ゼロワンさん、ちょっとお話したいことがあるのですけれど。」
「なんだい?さゆりさん。」
少しだけ舞と離れて話しはじめるさゆりさん、よく通る声なので思いっきり聞こえてる気がするが・・・
「実は今日、舞の誕生日なんですよ。そこで内緒にプレゼントしましょう。」
「って聞こえてるんじゃないか・・・?」
だが舞はまったく変わらぬペースで歩いていく。まぁ別に内緒にしなくても
問題ないような気もするが・・・俺はそれを了承し、教室についた。


カノンリベンジ -2-完